様々なギリシャの歌手によって、何度も歌われた曲が多く入っている。
フォーク・ソングとしての、ギリシャ音楽を愛す人には、ちょっとお勧めできない。
歌唱力は、素晴らしいものだが、このジャンルを歌うのに相応しい歌唱法かどうかは疑問が残る。
悪くはないが、ギリシャ人イコール正当な歌い手というわけではない。
ギリシャのフォークソングを、オペラ歌手が歌うとこうなる、という一つのヴァリエーションとして、受け取ってもらいたい。
これぞギリシャ音楽、として勧める事はできないが、どんなものか、と聴き較べてみるには、面白いCDだ。
アグネス・バルツアー。誰もが認める現在最高のメゾ・ソプラノ歌手。
彼女はギリシャ人だ。そして、故郷であるギリシャをこよなく愛している。今年はアテネ・オリンピックの年。世界の耳目はギリシャに集まる。スポーツだけでなく、音楽も楽しんでみてはどうだろうか。ギリシャの歌は哀感に溢れている。ながらくオスマントルコの支配下にあり、ようやく独立したと思ったら64年にクーデターが起き、暗い時代が10年以上続いた。こうしたギリシャの悲しい歴史とギリシャ歌謡は密接につながっている。おおっぴらには批判はできない。それを隠喩の多い歌詞の歌に託した。私がバルツアーのギリシャの歌を最初に聞いたのは10数年前のロンドンでした。カレーラスの白血病財団のためのガラ・コンサートでした。その夜のコンサートでは異彩を放っていました。これはなんという歌なのだろう。プログラムをみると、ギリシャの歌で「汽車は8時に発つ」でした。作曲家はギリシャを代表する1人、テオドラスです。軍政下での徴兵制で、心ならずも軍務につく若者、そして、彼を想う恋人。静かで哀しく、叙情的で、心にぐっときます。お奨めです。是非、聞いてください。名曲ぞろいです。録音は80年代とやや古いですが、ギリシャ人の心を感じるはずです。この春、バルツアーが来日した際、オペラとは別にギリシャの歌コンサートがあり。夫婦していきました。素晴らしいコンサートでしたが、驚いたことに入場者全員に無料でパンフレットが配られました。バルツアーはギリシャの歴史、歌に込められた本当の意味を日本人に知って欲しかったのだと思います。